2015年12月に開催された第21回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP21)で策定されたパリ協定を機に、各国で示されてきた目標を我が国も掲げなければならなくなり、2020年10月、菅義偉首相は、所信表明演説の中で2050年までに日本の温室効果ガス排出量を全体としてゼロ、すなわち「カーボン・ニュートラル」をめざすと表明し、これまでの経済活動を転換する必要性が著しく高まった。
その一方で、新型コロナウイルスのパンデミックによって、エネルギー部門からの二酸化炭素排出は減ったが、シングルユースのマスクや医療器具など有機素材の使用量は増加しており、いかに有機素材をバイオマス由来にするか、環境に出たときに生分解性を発動させるかが、今後の産業形態に大きな影響を与えていくと考えられる。
そのような中で、昨今プラスチック代替素材やバイオプラスチック等の新規素材開発は世界的に加速しており、これまでのような経済性一辺倒とは違った価値観、すなわち「循環(リサイクル)性」「二酸化炭素排出量」「生分解性」で各種素材を評価するとき、バイオ素材が注目を集めている。
しかしながら、多くのバイオ素材は水系で生産されることから、素材の水に対する比重によって不均一な素材しか得られず、それら素材の潜在能力は引き出せていないのが現状である。